1.ふるさと納税は2025年9月までが断然お得!
2025年10月1日より、ふるさと納税のルールが大きく変わることをご存知でしょうか。これまで一部のふるさと納税サイトで提供されていた「ポイント付与」が全面的に禁止となります。つまり、「ふるさと納税の返礼品+ポイント」という形でより多くの恩恵を受けたい方は、9月までに寄附を済ませるのが賢明です。今回は、ふるさと納税の仕組み、メリット、そして注意点について解説していきます。
2.ふるさと納税とは?
ふるさと納税とは、「応援したい自治体」に寄附をすることで、寄附額の一部が税金から控除され、さらに地域の特産品などの返礼品がもらえる制度です。具体的には、寄附額から自己負担額2,000円を差し引いた金額が、当年の所得控除、もしくは翌年の住民税からの控除という形で税負担が軽減されます。たとえば30,000円を寄附した場合、自己負担額2,000円を差し引いた28,000円が所得税・住民税から減額され、さらに最大9,000円相当(寄附金額の3割以内)の返礼品が受け取れるというわけです。実質2,000円の負担で、様々な地域の魅力を楽しめるお得な制度として、多くの方に利用されています。
3.開業医の先生方の平均所得とふるさと納税の目安
開業医の先生方は、一般的に高額所得者である方が多いため、ふるさと納税による恩恵をより多く受けられる立場にあります。厚生労働省の「第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告(令和5年実施)」によると、医療法人( 無床) の院長の年間給与平均は約2,578万円(※1)とされています。ただし、診療科目や地域、経営規模によって大きく異なります。ふるさと納税の控除上限額は、所得や家族構成によって変動します。ここでは、一般的な目安として、年収別のふるさと納税上限額(自己負担2,000円で寄付できる上限額)の概算を記載します。
年収(目安) | ふるさと納税限度額(概算) |
1,000万円 | 約17万円 |
2,000万円 | 約56万円 |
3,000万円 | 約105万円 |
4,000万円 | 約145万円 |
5,000万円 | 約210万円 |
※上記はあくまで概算であり、具体的な所得控除の状況によって変動します。
高額所得者である場合、この上限額が非常に大きくなるため、多額の控除を受けつつ、魅力的な返礼品を受け取れるチャンスが広がります。今回は、医療法人の院長の事例をご紹介いたしましたが、個人クリニックの先生方については、事業の状況によって控除上限額が大きく変動するため、個別の目安は顧問税理士にご相談ください。
4.高額のふるさと納税を行った場合の一時所得について
ご注意いただきたい点として、ふるさと納税の返礼品及びポイントは「一時所得」に該当します。一時所得とは、営利を目的としない一時的な所得のことです。原則として、一時所得には年間50万円の特別控除があります。ふるさと納税の返礼品は、寄附額の3割以下と定められているため、ふるさと納税額の3割と取得したポイントの合計が50万円を超えなければ、ふるさと納税の返礼品のみで一時所得が発生することはありません。返礼品相当額とポイントの合計額が50万円を超えた場合、その超えた部分については一時所得として所得税・住民税の課税対象となるため注意が必要です。
5.終わりに
2025年10月1日からのふるさと納税のルール変更により、ポイント付与がなくなることで、現在の制度でのメリットを最大限に受けられるのは、2025年9月30日までの寄附となります。開業医の先生方におかれましては、高額な所得ゆえにふるさと納税は非常にメリットがあります。まだふるさと納税を利用されていない方、あるいは今年はまだ寄附を行っていない方は、ぜひこの9月までの期間を有効活用し、お得にふるさと納税をご利用ください。
参考文献
※1: 厚生労働省「第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告(令和5年実施)」305ページより「入院診療収益なしの医療法人の院長 平均給与+賞与(令和4年度の数字)」を抜粋
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/dl/24_houkoku_iryoukikan.pdf
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