
2026年の診療報酬改定に向けて、厚生労働省と財務省の協議が佳境に入ってまいりました。ここで開業医の先生向けに、財務省の考え方を要点整理いたします。
※本コラムは2025 年12 月時点の内容となります。
財務省は、現役世代の保険料負担を抑制するため、医療費の「適正化・効率化」を強力に推進する基本姿勢を示しています。 高齢化に伴う医療費の自然増に加え、物価高騰によるコスト増をそのまま診療報酬に反映させると、国民負担が甚大になるとの懸念が言及されています。特に経営状況が比較的良好とされる診療所(開業医)に対し、厳しい視線を向けており、以下の項目を提言しています。
厚生労働省の「医療経済実態調査」に基づき、一般病院の多くが赤字(損益率マイナス)であるのに対し、診療所は依然として高い黒字(約4.8%)を維持していると指摘。これを根拠に、診療所の報酬は「適正化(実質的な引き下げ)」の方向で検討すべきと主張しています。
■ 機能強化加算…廃止または見直しを軸に検討。
■ 外来管理加算…廃止または見直しを軸に検討。
■ 地域包括診療料・加算…発展的改組(要件厳格化など)を検討すべきと提言。
「かかりつけ医機能報告制度」に基づき、地域住民に自院の機能を明確に示している医療機関を評価します。一方で、機能が不十分な医療機関については、初・再診料などの基本診療料を減算すべきと主張しています。
薬局などで一般販売されている市販薬(OTC)と類似の医療用医薬品について、保険給付から除外するか、保険適用とする場合でも患者の自己負担割合を増やすべきと提言しています。
医療現場の業務効率化のため、オンライン診療の推進、ICT やAI 技術の活用を求めています。
院内処方と院外処方の点数水準を同程度に見直すことで、不公平感をなくし、効率化を図るべきとしています。
病院勤務医の賃金引き上げ財源を確保するため、開業医の報酬を抑制する「標的型引き下げ」が行われる可能性が指摘されています。
開業医の先生方にとっては、基本診療料の減額や加算の廃止、患者負担増による受診控えなど、厳しい経営環境が予想されます。最新の情報を注視し、効率化や「かかりつけ医」機能の明確化など、戦略的な対応を検討していきましょう。
この記事の監修者
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大谷 朋子 本郷メディカルソリューションズ株式会社 税理士/行政書士 大手金融機関、税理士事務所勤務を経て、辻󠄀・本郷税理士法人に入所。医療機関の税務顧問を中心に、相続対策や医業承継業務など幅広く従事。現在、本郷メディカルソリューションズ株式会社においても、持分なし医療法人への移行支援業務をはじめ、医療法人設立、M&A事業等に参画している。 |
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