医療法人設立

医療法人社団かけはし 東小金井小児神経・脳神経内科クリニック

小児神経学・てんかん学がご専門の生田 陽二先生は勤務医時代、小児神経科を受診する患者さんが成人期医療へ移行する際、医療体制の問題から円滑な移行ができないケースが多いことに強い問題意識を持っていました。院内での取り組みでは限界があると判断し、自らその受け皿となる場をつくることを決意。2020年、小児期発症の神経疾患を持つ患者さんが、成人になってからも安心して通うことができる専門クリニックを開設しました。今回のインタビューでは、開業に至ったエピソードや当社サービスを活用した医療法人設立の経緯、さらに企業経営的な視点を取り入れたクリニック運営に対するお考えを伺いました。

理事長 生田 陽二先生
DATA
医療機関名 東小金井小児神経・脳神経内科クリニック
診療科目 小児神経内科 脳神経内科
所在地 東京都小金井市梶野町5-3-6 東小金井フラワーメディカルモール 201
URL https://higako.kakehashi-mc.jp/

開業を決意する「原点」となったエピソードをお聞かせください。

小児神経科医として病院勤務をしていた頃、小児科であっても成人の患者さんを担当しているケースを数多く目にしていました。例えば、ベテランの先生方の外来リストを見ると、30代、40代、50代の患者さんが多く並んでいましたし、私が総合病院の神経外来で前任者から患者さんを引き継いだ際も、成人の方が相当数いました。当時から、その状況にどこかモヤモヤとした違和感を抱いていました。

もちろん、重症心身障害をもつ方など、成人診療科への移行が難しいケースもありますが、成人診療科へ移ったほうが適切だと思われる患者さんも少なくありませんでした。そうした経験を重ねる中で、小児期発症の神経疾患をもつ患者さんにおける「移行期医療」の難しさを強く感じるようになったのです。

当初は、病院内で小児科から成人診療科へスムーズに移行できる仕組みが作れないかと試行錯誤していましたが、実際はうまく進みませんでした。一方で、小児期発症の重症心身障害者であっても、障害者施設など外部からは成人診療科で受け入れていることを知り、視点が大きく変わりました。「それなら自分が外に出て、移行期の患者さんに必要な医療をコーディネートできるようなクリニックを作ればいいのではないか」。そう考えたのが、開業を具体的に意識するきっかけでした。病診連携という形であれば、今まで解決できなかった課題を少しでも前進させられるのではないかと考えたのです。

 

開業そのものが目的ではなく、当時感じていた課題を解決するための手段として開業を選ばれたのですね。実際に開業へ向けて準備を進める中で、重視されたポイントやこだわりについて教えてください。

まず開業場所についてですが、私は長く多摩地区で勤務しており、勤務先が変わるたびに私についてきてくださる患者さんも多かったので、開業するならこの地域で、と決めていました。私のクリニックの場合、こちらから紹介するよりも、周辺の病院から患者さんをご紹介いただくケースのほうが多くなると想定していました。多摩地区は専門病院が多く、小児神経科の先生方とも関係性が構築できていたので、病診連携のハブとして機能する意味においても、この場所が最も適していると判断しました。患者さんの通院の利便性を考慮し、電車でも車でもアクセスしやすいことを条件に加え、駅前で駐車場も確保できるこの東小金井の地を選びました。

開業準備では、まず情報収集のために多くの書籍を読みました。クリニック開業に関する書籍も参考にはしましたが、より多く読んだのは一般企業やスタートアップなどの起業関連の書籍です。私の場合、一般的なクリニック開業のノウハウよりも、自分の掲げる理念をどう形にしていくかのほうが重要だったからです。クリニックとはいえ、スタッフを雇用し組織を運営しなければならない点は企業と同じです。スモールビジネスで採用されている仕組みはクリニックにも適していることが多いと感じており、現在のクリニック運営においてもよく参考にしています。

広告についても、一般の小児科外来は行わないクリニックなので、電柱広告や駅の広告を出す必要はないと判断しました。それよりも、専門性を正しく理解してもらうため、ウェブでの情報発信が重要だと考えました。もともとITが得意だったこともあり、ホームページは自分で制作し、SEO対策やリスティング広告も自ら行いました。開業後はホームページを見て遠方から来られる方もおり、ウェブの効果は大きかったと感じています。

 

開業から3年という比較的早い段階で医療法人化されていますが、その理由は何でしょうか。

開業当初から、なるべく早く法人化したいと考えていました。将来的に新しい事業や部門を立ち上げる際、個人事業のままでは意思決定から実行までにタイムラグが生じ、機動的に動けないと感じていたためです。法人化しておくことで、将来の事業展開に柔軟に対応できる体制をあらかじめ整えておきたいという意図がありました。

実際の法人化の手続きにあたっては、本郷メディカルソリューションズの医療法人設立コンサルティングサービスを利用しました。目標とする申請タイミングからスケジュールを逆算し、どの時期に何を準備すべきかをコントロールしてくださったので、迷うことなく手続きを進めることができました。また、同時期に企業出版の企画が進行しており、出版費用の取り扱いなど、税務面での判断が必要な場面がありました。その際も、担当の方から丁寧なアドバイスをいただけたのが本当にありがたかったです。法人化におけるプロセス全体を的確に支えていただけたと感じています。

 

医療法人化後の変化や、良かったと感じる点について教えてください。

まず法人化して良かったと感じるのは、法人と個人の会計を明確に分けられるようになったことです。個人事業の頃は、何かを契約するにしても個人名義になるので、個人と事業の支出が混在しがちだったのですが、今は経費や資金の流れが整理され、クリニックのキャッシュフローを正確に把握できるようになりました。

また、制度設計の面でも法人化のメリットを実感しています。スタッフが安心して長く働ける環境を整えたいと考えており、社会保険の加入はもちろんですが、それに加えて「企業型DC(確定拠出年金)」も導入しました。スタッフの将来の資産形成につながり、福利厚生として非常に好評です。こうした制度を導入・運用し、組織運営の基盤を築いていく上でも法人化は欠かせない要素だと考えています。

 

クリニックの運営において、経営者として意識されている点や、組織づくりで工夫されていることはありますか?

毎月のレセプト請求後、自作のスプレッドシートでデータを自動計算・グラフ化し、クリニックの成長を客観的に把握するようにしています。例えば脳波検査の件数であれば、季節変動や過去12ヶ月平均との比較を通して分析を行います。そして、この数字は私だけが見るのではなくスタッフにもフィードバックします。「先月は過去最高件数でした」「夏休み期間は忙しかったけれど、こんなに件数が伸びました」などと共有することで、スタッフ一人ひとりが、組織の一員として成果を支えている実感を持つことができ、組織全体のモチベーション向上に繋がっています。

等級制度や評価制度の導入など、人事制度の構築にも力を入れています。個人の努力が評価や処遇に適切に反映されることで、日々の業務に対する意欲や成長実感につなげられると考えています。年数回ではありますがスタッフ全員との面談も実施し、それぞれの意見を吸い上げられるような環境も整えています。
先日、ペイハラ対策の研修を行ったのですが、それもスタッフからの要望を受けて実施しました。さらに最近では「目標数字を設定してほしい」など、こちらが驚くような積極的な意見をもらうこともあります。今後は、法人運営に前向きな提案をしてくれた場合は、その提案貢献度を点数化して賞与に反映させてはどうかと考えています。より良い組織形成ができるよう、今後も継続的な改善を重ねていきたいと思っています。

 

医師として、経営者として、様々な取り組みをされている先生が考える「これからの開業医に必要なこと」とは何でしょうか。

これから開業する場合、もしその動機が「疲れたから開業する」「稼ぎたいから開業する」といった理由だとするならば、これからの厳しい医療経営の環境下では立ち行かなくなる可能性が高いと思います。それよりも大切なのは、「自分が開業して実現させたい医療とは何か」を徹底的に突き詰めて言語化し、それを理念に昇華させて軸をぶらさずにやり続けることです。それこそが仕事の面白さに繋がり、モチベーションを維持するメンタルの土台になります。

開業して5年が経ちましたが、今私は毎日が楽しくてしかたがありません。多摩地区の「移行期医療」が大きく変わったという実感があるからです。地域の先生方から、移行年齢になった患者さんを気軽に紹介していただけるようになりましたし、患者さんのご家族から「そろそろ移行期なので悩んでいて…」といった相談を受けることもあります。医師側だけでなく患者さんやご家族も、移行期医療に対する認識やマインドが変わってきているように感じています。私のクリニックの存在が、そのマインドを変えるきっかけのひとつになれたなら本当に嬉しく思います。患者さんや地域の医療機関から必要されているという実感が、何よりも今の私の原動力となっています。

 

インタビューを終えて

まさに「初志貫徹」。生田先生が開業当初に掲げたコンセプトを一切ぶらさず、理想とする移行期医療の実現のために歩まれたストーリーを、終始興味深く拝聴させていただきました。その一貫した姿勢が、地域の医療機関や患者さんからの厚い信頼につながっているのだと思います。

経営面においても、企業型DCなど一般的なクリニックではまだ導入の少ない仕組みを積極的に取り入れられています。医療法人化も、将来の事業展開を見据えた経営戦略の一環として位置づけられており、医療と経営の双方を高い次元で両立されている姿勢に、学ぶべき点の多いインタビューとなりました。

当社の医療法人設立コンサルティングの他、当グループでは税務・労務を含め多面的なサポートを通じて先生の取り組みを継続的にご支援しています。今後もグループ全体でクリニックのさらなる発展に寄与できるよう伴走してまいります。

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